ドローンに少し興味あるんだけど何か難しそうで調べてもよく分からないな・・・
とても気持ちは分かります…。そんな方のためにこのドローンの基礎知識解説記事は書きました!これさえ読めばドローンに関する基礎知識を把握できます。
そもそもドローンとは何なのか?
ドローンという言葉を聞いたことはあっても「そもそもドローンって何?」という状態の方は多いのではないでしょうか。
中には「何か空を飛んで動画や写真を撮影する機械」と認識している方も多いでしょう。実際、私もそうでした。
ドローン(英名:drone)は正式名称を「無人航空機(Unnamed aerial Vehicle:UAV)」といいます。
「プロペラ音がミツバチ(drone)の羽音と似ている」「第二次世界戦中にイギリス軍が使用していたクイーン・ビーが由来」などが由来とされている
無人航空機は「飛行できる機体の中でも構造上人が搭乗しない200g以上の航空機であり、遠隔操作・自動操縦で飛行できるもの」に当てはまるもの全てが対象です。
無人航空機に該当する航空機の主な例としては、200g以上のドローンの他、ラジコン機や農薬散布用の無人ヘリコプターなどが挙げられます。
ドローンという単語は元々、無人航空機に含まれる機械や、無人車両、無人船など、遠隔操作・自動操縦で動く機体の全体の総称として扱われていました。
2010年頃に多くの方がイメージする「ドローン」の意味合いで呼ばれ始め、2015年の航空法改正によって「人が搭乗しない遠隔操作・自動操縦で飛行できる200g以上の航空機」がドローンであると定義されました。
ドローンとラジコンの違い
正直、ドローンとラジコンは何が違うのか分からない・・・
ドローンと似ていたり、同じ物では?と考えられたりする物の1つがラジコンです。
先述した 「人が搭乗しない遠隔操作・自動操縦で飛行できる200g以上の航空機」 という定義に当てはめると同じものになります。
ドローンとラジコンの主な違いとしては、商標であるかどうかが挙げられます。
「ラジコン」という単語はおもちゃメーカーの増田屋コーポレーションが商標登録している名称であるため、増田屋の許可なく「ラジコン」を販売することはできません。
増田屋コーポレーション以外がラジコンヘリを販売する場合は「Radio Control」を略した「RC」という名称で販売されていることが多い
他にドローンとラジコンの違いとして挙げられるものには、性能の違いがあります。
ラジコン(ヘリ)と呼ばれるものは基本的にセンサーなどを搭載していないものが多いですが、ドローンは気圧センサーやジャイロセンサー、GPSセンサーなどを搭載しているため、ラジコンよりも安定した自律飛行が可能な物がほとんどです。
- 「無人航空機」という区分で言えばドローンもラジコンも同じ分類
- そもそもとして増田屋コーポレーション以外が販売しているものはラジコンではない
- ラジコンヘリには搭載されていないセンサー類がドローンには搭載されている
ドローンって何に使うの?何ができるの?
ドローンがどういうものかは分かったけど、結局何に使うの?
ドローンが空撮用ドローンだけではなく、産業用ドローンと呼ばれるドローンがあることから、さまざまな用途があることはお分かりいただけたかと思います。
では実際にドローンは何ができるのか、何に使うのかを解説します。
ドローンの用途①点検作業
風力発電所や太陽光発電システム、防水ダム、外壁調査、煙突など、インフラを整備している施設やシステムは、耐久度や老朽化などをこまめに点検する必要があります。
しかし、実際に点検するとなると、人が点検するには危険が伴い、同時に点検時間がかかったり、点検費用がかさんだりすることも珍しくありません。
ドローンを使って各施設やシステムを点検すると、人が点検するには危険な場所や、そもそも立ち入れない場所まで細かく点検することが可能です。
ドローンを操縦すれば全体像だけではなく、より細かい箇所も確認ができるため、危険と隣り合わせで行う点検よりも質の高い点検ができる可能性が高くなります。
また、太陽光発電システムのように広範囲の点検が必要な場合も、ドローンで空から確認することで点検時間を短縮できます。
使用するドローンによっては赤外線カメラを搭載しているドローンもあるため、壁の耐久性やサーモグラフィーでの異常などを特定しながら、さまざまな産業分野でドローンを活用した点検作業は年々普及してきているのが現状です。
ドローンの用途②生態調査
熱帯雨林や南極大陸などをはじめとして、人間が立ち入って調査するには困難だったり危険だったりする地域にも、さまざまな生物が存在します。
生物学の発展のためには生態調査を進めたいものの、人間が立ち入れる場所ではないことから調査が停滞してい生物も少なくありません。
そこで活躍するのがドローン。
ドローンは機種によって小型であったり、水中でも操作が可能であったりとさまざまな種類があるため、生態調査にはぴったりです。
実際に豊田市では、環境省と共同で「アカミミガメ」の分歩状況を分析する防除プログラムに取り組んでいます。
豊田市は、環境省と共同で、ドローンを活用した動画撮影により、二級河川逢妻男川と逢妻女川に生息するアカミミガメの分布状況を調査します。 全国の河川や湖沼で、米国原産の外来種であるアカミミガメが増殖・定着し、在来の生態系や農業への被害が出始めているため、環境省は、昨年7月に「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を発表し、アカミミガメ対策を総合的に進めていくこととしています。環境省ではその一環として、今年度より自治体等と協力し、河川や湖沼における防除手法や体制について検討するモデル事業を開始しています。豊田市も先駆的な取組となるこの事業に参画し、逢妻男川と逢妻女川の防除モデルを構築していきます。
豊田市役所
ドローンの用途③測量
測量とは
①現況測量:ブロック塀・建物・既存境界標等の現地に存在する地物を測り、対象土地のおおよその寸法・面積・高さを知りたいときにする測量
②境界確定測量:隣地所有者の立会い及び確認や官公署の図面をもとに土地の境界を全て確定させる測量
今まで建築業・土木業で行われてきた測量は、すべて人力でさまざまな機械を利用して行う、時間がかかる二次元的なものでした。
しかし、測量にドローンを利用すると、短時間で三次元的な測量を行うことが可能になるんです。
ドローンに搭載されているGPSセンサーをはじめとする各種機能を利用すると、時間とコストを抑えながら上空から人力よりも広範囲の地形を測量できます。
従来の測量方法は地上での小規模な測量か、セスナなどの有人航空機を使った大規模な測量のどちらかでした。
ドローン測量はこれら2つの中間に位置する測量となるため、今までよりもコストを抑えながら、地上での測量よりも広範囲に渡る測量が可能になります。
また、ドローン測量では測量したデータに基づいて3Dデータを手軽に構築することも可能です。
ドローンで測量したデータは点としてデータで残されるため、専用ソフトを使えば解析と3Dデータ化を進めやすくなり、建築業・土木業における細かな分析を実現させられます。
ドローンの用途④輸送物流
Amazonや楽天で購入した商品は、すべて配送業者の手によって私たちの手元へやってきます。
しかし、その配送業者自体の人手不足が深刻化してきていることはご存じでしょうか?
配送業者は長時間に渡る肉体労働でありながら、賃金・給料が安めであることから人員不足が課題となっています。
その上で、ベテランの方は高齢化が進んでいることから、肉体労働に向かない身体になりつつあります。
新型コロナウイルス影響下の中、在宅の方やリモートワークの方が増えて通販利用者が増えている現在多くの配送業者がドローンを活用した輸送物流の開発・導入に取り組んでいます。
現在では山の中などの無人エリアにおいてのドローン輸送物流が実験されており、開発が上手く進めば数年後にはAmazonで購入したものがドローンで届く未来も実現するでしょう。
ドローンの用途⑤農薬散布
産業用ドローンの中でも特に発展している「農業用ドローン」の主な用途として、農業散布が挙がります。
機種によって異なりますが、国内の農業用ドローン製造メーカー「マゼックス」が開発している農業用ドローンでは、時速15kmで幅4mへ農薬散布を行います。
これはつまり10アール(1000平米)を約1分で農薬散布が完了するということになり、その上そのまま次の農薬散布先に移動して同じ作業を行うことも可能です。
人手不足や労力、高齢化社会が課題となっている農業ですが、ドローンを導入することで人手不足や労力の課題を解決し始めています。
ドローンの用途⑥空撮(動画・写真)
ドローンで空撮した動画や写真は、地上で人が撮影するものとは異なる切り口から撮影対象の魅力をアピールすることが可能です。
最近ではミュージシャンのMVやPVなどにもドローンで空撮した動画が使用されているケースが増えており、ダイナミックな演出でユーザーを惹き付けやすいのが特徴的です。
MVやPVだけではなく、ドローンで空撮した写真を使ったポスターや、ドローンで空撮した動画・写真を活用してWEBサイト、SNSなども増えてきました。
ドローンの用途⑦ドローンレース
一般的な空撮用ドローンや産業用ドローンとは異なる、レース用ドローンを遠隔操作しながら決められたコースを飛行する速度やタイムを競うのがドローンレース。
ドローンレースは世界規模でも開催されており、2016年3月にドバイで開催されたドローンレースでは15歳の少年が優勝し、賞金として2800万円を獲得しました。
日本国内でもドローンレースは栄えてきており、一攫千金も夢ではないように思えてくるほど身近なものとなってきています。
ドローンの用途⑧防犯・警備・セキュリティ
輸送物流でドローンが活用されている背景は、人手不足が主な原因でした。
防犯・警備においても輸送物流と同じように、人員不足や労働力不足が課題となっています。
加えて、防犯・警備に関しては労働環境の過酷さも問題視されているのが現状です。
防犯設備やセキュリティを高めるためには、監視カメラを増設したり、警備員を増員したりとどうしても出費がかさみやすい傾向にあります。
そんな課題を抱える防犯・警備・セキュリティの面で活躍するのがドローンです。
固定式の監視カメラとは異なり移動可能なドローンであれば、何台も監視カメラを設置する必要はありません。
また、広い敷地内での防犯チェックは時間がかかりますが、ドローンであれば巡回時間を短縮することも可能です。
実際に日本では「セコム株式会社」「プロドローン株式会社」「テラドローン株式会社」などが防犯用ドローンの開発・販売に注力しており、今後ますますの発展が見込めるでしょう。
ドローンの用途⑨医療・災害救助
災害現場や医療現場での救助活動は、そのほとんどが時間との勝負ですよね。
仮に市街地や山などで事故や怪我をした場合、救急車が到着するには時間がかかったり、ドクターヘリも飛ばしにくかったりすると、救助対象の方の命に関わる可能性は非常に高いです。
そこで現在、医療現場や災害救助現場ではドローンが使われています。
医療現場ではAEDを積んだり搭載したりするドローンを現場に飛ばすことにより、より早く人命救助を行える可能性を高めることが可能です。
また、災害救助現場においては、ドローンを飛ばして空中からの状況を確認することで、事故や災害の被害状況を把握したり、遭難者や行方不明者を捜索したりすることに活用できます。
ドローンってどんな種類があるの?
ドローンは大きく分けて約5種類に分類できるということをご存じでしょうか?「ドローン」と聞くと動画撮影や写真撮影をしているドローンを想像する方も多いと思います。
想像したドローンは「空撮用ドローン」に分類されるドローンであり、空撮用ドローン以外は「トイドローン」「産業用ドローン」「農業用ドローン」「レース用ドローン」に分類可能です。
それぞれのドローンが具体的にどういうドローンなのかを解説します。
ドローンの種類①トイドローン
トイドローン(toydrone)はその名前の通り、おもちゃとして扱われるドローンのことを意味します。価格帯がリーズナブルで手をつけやすく、おもちゃ屋さんやAmazonなどでも販売されているドローンです。飛行時間は約5~10分程度の機種が多い傾向にあります。
トイドローンの特徴は、とにかく「小さい」形状をした200g以下の機能が少ない機体であること。トイドローンは価格帯が5,000~10,000円と安いこともあり、一般的にドローンと聞いて想像するドローンよりも小さく、カメラがついていないことも多いです。
トイドローンの中にもカメラが搭載されているドローンはありますが、どうしても低画質であったり、カメラパーツを交換できなかったりと制限が多い傾向にあります。
ただし、ドローンを飛行させる上で遵守すべき「飛行法」の適用重量である200gを超えないため、自治体・行政のルールを守った上であれば許可申請をせず飛ばすことも可能です。
- とにかく価格が安く5,000~10,000円で購入可能
- ドローンをとりあえず触ってみたいという方におすすめのドローン
- 200g以下がほとんどなので自治体・行政のルールを守った上であれば気軽に飛ばしやすい
- キャンペーンサポーターの無料プランで設定できる機能
- GPS機能などがなく自動操縦はできない機種がほとんど
- 飛行時間は約5~10分程度
Amazonで販売しているトイドローンおすすめ商品
トイドローンをAmazonで購入するのであれば「Holy Stone」が品質もよくリーズナブルな価格で購入することができます。
他にもHolytonやDJIなどドローン開発メーカーが販売しているドローンが多数あるので、予算や求めるスペックに応じて購入を検討してみてください。
ドローンの種類②空撮用ドローン(ホビードローン)
トイドローンが200g以下だったのに対して、空撮用ドローンのほとんどは200g以上であり、4Kカメラなどの高性能カメラを搭載しているのが特徴。
トイドローンと区別して「ホビードローン」とも呼ばれており、機種によっては30分ほど飛行することも可能です。
また、空撮用ドローンはトイドローンには搭載されていないことが多い「GPS機能」を搭載している物がほとんどであるため、安定した飛行をしやすく、自動帰還機能などを搭載しているものもあります。
トイドローンがおもちゃ扱いで、ホビードローンは
おもちゃ扱いではないと考えてみてください!
空撮用ドローンは中国メーカー「DJI」のシェア率が非常に高く、Drone Indusry Insight社が2021年に発表したデータにおけるDJIのアメリカドローン市場シェア率は76.1%と圧倒的なシェア率を誇っています。
DJIをはじめとする各メーカーが製造・販売する空撮用ドローンは200g以上であることが多いため、日本国内でドローンを飛行させるには国土交通省が制定している航空法や、警察庁が定めている飛行禁止区域、飛行方法を遵守した上で各自治体のルールを守ることが重要です。
空撮用ドローンは各ドローンメーカーがさまざまなスペックのドローンを販売しているため、目的や予算に合わせてドローンを選べます。10,000~50,000円、50,000~100,000円など予算に合わせて購入するのがおすすめです。
筆者が主に使用している「DJI mini2」は重さ199gの4Kカメラ内蔵であり約80,000円ほどの価格帯。同じDJIが製造・販売している「DJI Air2S」よりも小型であるため室内でも飛ばしやすいドローンです。逆に外で安定したドローン操縦をしたいのであれば、Air2Sを利用した方がよいでしょう。
- 200g以上の機種が多く、飛ばす場合には申請が必要なことがほとんど
- 価格帯は10,000円から幅広くあるため、予算に合わせて選びやすい
- カメラの性能が高く、機種によっては4Kカメラでの撮影も可能
- GPS機能を搭載しているため、安定した飛行が可能
- 平均的に10分以上の飛行が可能であり、機種によっては30分程の飛行も可能
Amazonで販売している空撮用ドローンおすすめ商品
先述したDJI社のドローンはAmazonで購入可能です。Amazonで購入する場合には、機体本体のみか、予備バッテリーなどのアクセサリーがセットになったコンボから選んで購入します。
購入するドローンの機種によっては保証とセットになっているプランで購入もできるため、自分のニーズに合った購入をしましょう。
ドローンの種類③産業用ドローン
産業用ドローンは文字通り、建築業や土木業、林業、物流、医療など幅広い産業分野で、各産業分野に必要な機能が揃っている高機能なドローンのことです。
価格帯は空撮用ドローンとは桁違いの額であり、500,000円以上する機種がほとんど。中には100万円以上の機体もあるほど高額です。
しかしその分赤外線カメラや防水機能、3Dデータ測量、農薬散布など各産業ごとに必要な高機能を搭載しているため、機能性は十分。
何で産業用ドローンが発展しているのか
産業用ドローンが猛スピードで発展している背景としては、日本で少子高齢化が進んでいることや、安全意識の向上などが挙げられます。
少子高齢化が進んでいる日本では、 建築業や土木業、林業などにおける労働力不足が課題になりがちです。
跡継ぎがいないだけではなく純粋に人手不足による産業衰退が懸念されている中で、産業用ドローンは労働力や人手の不足問題に対する解決策として導入されはじめました。
産業用ドローンは今まで人力で行ってきた点検作業や測量などを、ドローン本体を操縦するだけで完了できます。
それだけではなく、今まで人力で行っていた危険を伴う作業も産業用ドローンが代行するため、各産業での安全確保もできるようになりました。
また、産業用ドローンのスペックによっては、人力では長時間かかる作業を一気に短時間で終わらせることも可能であるため、業務効率が上がり、生産性の向上も見込むことが可能です。
ドローンの種類④農業用ドローン
先述した「産業用ドローン」の1つである農業用ドローンは、同じ産業用ドローンの中でも特に発展が著しく、農林水産省は農業用ドローン普及のために、導入する上でのサポート体制や支援策などを展開しています。
農業用ドローンと聞くと写真のような農薬散布をイメージする方がほとんどだと思いますが、実は農業用ドローンは他に「肥料散布」「播種(はしゅ:種まき)」「受粉」「農産物等運搬」「ほ場センシング」「⿃獣被害対策」などを行うことが可能なのです。
作物の⽣育状況、⼟壌の肥沃度、病害⾍・雑草等の発⽣状況等を分析すること
農林水産省は特に人手不足が課題となっている農業を衰退させないよう、農薬散布をはじめとする作業をドローンで行うための普及策として、無⼈航空機による農薬の空中散布に係る情報交換会や農林⽔産省主催イベント・説明会を実施しており、近年ではスマート農業推進フォーラムという形でも情報共有・発信が行われています。
ドローンの種類⑤レーシング(レース用)ドローン
ドローンは空撮や産業発展だけではなく、ドローンの操作技術を問う「ドローンレース」の参加機種としても利用されています。
ドローンの操縦タイムや操縦技術を競う大会であり、大会によっては年齢制限がなかったり賞金があったりするレース
レーシングドローンともっともメジャーである空撮用ドローンを比較すると、空撮用ドローンにはあってレーシングドローンには搭載されていない機能が多数あります。
レーシングドローンに搭載されていない主な機能
- GPS機能
- Wi-fi・Bluetooth機能
- 気圧センサー
- 磁気センサー
- 超音波センサー
- 温度センサー
- カメラ
【知っておきたい】ドローンの特徴・機能
ドローンがさまざまなことをできる機械であるということは、お分かりいただけたかと思います。
では、さまざまなことをできるドローンは何故さまざまなことをできているのでしょう?
ドローンの特徴①GPS機能
ドローンが空中でも安定して飛行ができるのは、「GPS機能」が搭載されているからというのが1つの理由です。
GPSが搭載されているドローンは衛生から発信する情報をもとに、機体の位置情報を自動で計算することで、特定の位置での安定した飛行が可能になっています。
これは言い換えると、GPSが受信できないビル密集地などでドローンを飛行させた場合、ドローンが安定して飛行ができず風に流される恐れがあるということです。
ドローンの特徴②FPV機能
FPVは「First Person View」の略語であり、一人称視点(自分の視点)という意味です。
ドローンの中には、専用のゴーグルやヘッドマウントディスプレイなどを利用することで空撮映像をリアルタイムに見られる「FPV機能」が搭載されているものがあります。これは別称「FPVドローン」とも呼ばれる機種です。
ドローンならではの視点からの撮影ができるため広告や観光の面で活用されていますが、使用するドローンによっては法律違反となってしまう可能性もあるんです。
ドローンの特徴③自動飛行機能
ドローンは機種によっては、GPS機能を活用した「自動飛行」をさせることも可能です。
事前にスマホアプリ等で飛行範囲や飛行経路を設定することで、簡単に自動飛行させられます。
ドローンを自動操縦するアプリ自体はドローン機体のスペックなどを考慮した上で飛行範囲・飛行経路を生成してくれるため、手動の飛行で発生しがちな撮影のムラや抜けなどを防いでくれるのが自動飛行機能の特徴です。
空撮以外の自動飛行が活躍する分野としては、正確な位置でのデータ取得が必要な測量や調査、安定した経路で巡回が必要な点検・安全管理・農薬散布などが挙げられます。
ドローンの特徴④自動追尾機能
ドローンがGPSを活用した自動飛行が可能であるとお伝えしましたが、GPSは衛星からの情報で位置情報を把握するため、「飛行している機体周辺の建物や地形などの状況は認識できない」という懸念点があります。
また、GPSはビル密集地や屋内など、電波の届きづらい場所では十分に機能を利用できません。
そんな場合に利用できる機能が「自動追尾(トラッキング)機能」です。
イメージとしては、自転車に乗っている人の上空を一定の位置で飛行しながら空撮ができるような状態です。
自動追尾機能では障害物の自動回避なども行うことが可能ですが、障害物に衝突するリスクがあります。
木や壁、電柱、建物、車などに衝突してしまう恐れはあるため、自動追尾機能を使う際には安全確保をきちんと行った上で使用することが重要です。
【重要】国土交通省の航空法によるドローン規制
ドローンを買って外で飛ばしてみたいという方も多いでしょう。
しかし、ドローンは国土交通省が制定している航空法をはじめとする、各法律や規制を守った上で飛ばさなければいけません。
ドローンは「無人航空機」に分類されるため、飛行機やヘリコプターのような「航空機」が守るべき「航空法」に則って飛行させる必要があります。
ドローンの定義は200g以上であるため2022年1月現時点ではトイドローンは航空法の対象外ですが、2022年中には航空法が改正されて100g以上に制限が引き上がると言われています。
そのため、トイドローンであっても近いうちに航空法を守るべき状態になる可能性があることは抑えておきましょう。
航空法の規制①飛行可能機体の制限
国土交通省では、飛行可能な機体について航空法第9条で以下のように規制をしています。
航空法第9章の規制対象となる無人航空機は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」です。いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
航空安全:飛行ルール(航空法第9章)の対象となる機体 – 国土交通省
なお、200g未満の重量のものを、空港等周辺で飛行させることや、高高度で飛行させることは、「航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」として、従前のとおり航空法第134条の3の規制を受け、飛行の許可等が必要となる可能性があります。
航空法第9条の要約
- 200g以上のドローンは航空法に従う必要あり
- 飛行させる場合には飛行許可申請が必要
- 200g以下の機体であっても空港周辺や高いところで飛行させる場合は同様に許可申請が必要
航空法の規制②飛行禁止区域の規制
航空法では「空港周辺」「地上150m以上の上空」「人家の密集地域(人口集中地域地区:DID)」「緊急用務区域」に該当する区域でのドローン飛行が禁止です。
これらの区域でドローンを飛ばしたい場合には飛行許可申請を行う必要があり、飛行許可申請を行わずにドローンを該当区域で飛ばした場合には罰則が発生します。
国土交通省が提示している遵守すべき飛行ルール
国土交通省はドローンを飛行させる場所にかかわらず、飛行させる場合には以下10個のルールを遵守すべきと発表しています。
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
⑤~⑩に関しての規制は地方航空局の承認を受けた場合のみ飛行が許可されるため、夜間のビルを撮影したり、自分で目視できない場所を飛行させたり、イベントを空撮したりしたい場合には承認申請を行いましょう。
無人航空機の登録制度
2020年の航空法改正に基づき、ドローンを飛ばす場合には飛ばすドローン機体を登録する制度が導入されました。
これにより、もしドローンが事故で紛失してしまったとして見つかった場合に所有者等の把握をすることができたり、危険性を伴う機体を排除したりすることによって、ドローン飛行の安全性を向上させることを目標としての改正です。
無人航空機の登録制度では「登録義務関係」「表示義務関係」の2つが新設されました。
①登録義務関係
ドローン機体の登録が義務化する2022年6月20日以降、登録を受けていないドローンは飛行させることができなくなります。
また、安全上問題のあるドローンは登録を拒否され、登録自体は3年ごとに更新されます。
この登録は不正登録があった場合には登録が取り消しされ、場合によっては抹消登録される可能性も否定できません。
②表示義務関係
登録したドローン機体には登録記号を割り振られます。
この登録記号をドローン本体に記載またはシールなどで貼付をしなければドローンを飛行させてはいけません。
2022年6月20日以降に登録した場合には、登録記号を含む機体識別情報を発信する「リモートID」を本体に設置する必要があります。
【重要②】警察庁の小型無人機等飛行禁止法によるドローン規制
小型無人機等飛行禁止法は、重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を原則禁止する法律です。
重要施設としては国会議事堂や外国公館、防衛施設、空港、原子力発電所などが挙げられます。
飛行禁止区域具体例
- 国会議事堂
- 内閣総理大臣鑑定
- 危機管理行政機関
- 最高裁判所庁舎
- 皇室・御所
- 政党事務所
- 諸国大使館
- 自衛隊施設
- 在日米軍基地
- 各空港
- 原子力発電所
これらの飛行禁止区域の上空で飛行させる場合、対象施設の管理者クラスの方からの同意または土地所有者クラスの方からの同意を得たり、国・地方公共団体の業務実施のための飛行であったりする場合には例外として扱われるためドローン飛行が可能です。
ただし、防衛関係施設においては土地所有者クラスの方からの同意と 、国・地方公共団体の業務実施のための飛行では許可されないため、対象施設の管理者クラスの方から同意を得ることのみ例外として飛行を許可されます。
そのほかでドローンを飛行させる上で遵守すべき法律・条例
先述した航空法、小型無人機飛行禁止法だけではなく、ドローンを飛行させるにはその他多数の法律・条例を遵守しなければいけません。
例えば東京都では「都立公園条例」によって、東京都に所在する都立公園・庭園の「管理に支障がある行為」に該当するとして、都立公園・都立庭園でのドローン飛行は禁止されています。
また、場合によっては市区町村レベルの各自治体での条例によってドローンの飛行を禁止している自治体もあるため、ドローンを飛行させたい場合は飛行場所の自治体への確認が重要です。
ドローンを飛行させる上で遵守すべき法律・条例は自治体の条例以外にも以下のようなものがあるため、ドローンを飛行させる場合には要チェックしておきましょう。
ドローンを飛行させる上で遵守すべきその他法律・条例
- 民法
- 電波法
- 森林法・自然公園法
- 河川法・海岸法・航則法
- 道路交通法
ドローンを飛行させるのに資格は必要?
2022年1月現在では、ドローンを飛行させるために取得が必要な資格や免許はありません。
これはつまり、この時点では誰でもドローンを飛ばせるということになります。
しかし、ドローンを飛ばすには、ドローンに関する知識はもちろん、法律に関する知識や飛行技術などが必要です。
そのため、ドローンを飛ばす上で必要な知識や技術を習得済であるという証明のために、2022年1月現在ではさまざまなドローンに関する民間資格が存在しています。
その他のドローン民間資格
- DJICAMP認定資格
- JUIDA 無人航空機操縦士
- JUIDA 安全運行管理者
- DPA ドローン操縦士回転翼3級
- ドローン検定協会 無人航空従事者試験 1級~4級
2022年にはドローン飛行が免許・登録制になる?
2021年3月に閣議決定された「航空法改正案」の中には、「無人航空機操縦者技能証明制度の創設」という項目が記載されています。
「航空法改正案」に記載されている項目の要点をまとめると、以下のようになります。
- 無人航空機を飛行させるのに必要な技能を一等無人航空機操縦士又は二等無人航空機操縦士の資格の区分に応じてドローン操縦者の技能証明を行う
- 資格取得者に「無人航空機操縦者技能証明書」を交付する
- 技能証明によってドローンの種類又は飛行の方法についての限定をする
- 技能証明を行う場合にはドローンを飛行させるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために身体検査、学科試験及び実地試験を行う
- 国土交通大臣の「登録講習機関」が行うものを修了した者について技能証明を行う場合には、学科試験又は実地試験の全部又は一部を行わないことができるものとする
- 資格の有効期間は3年
- 資格の更新は「登録更新講習機関」が実施するドローンを飛行させるのに必要な事項に関する最新の知識及び能力を習得させるための講習を修了したと認める場合のみ
一等無人航空機操縦士は現在でも認められていない、有人地帯での補助者なしでの目視外飛行に該当する「レベル4」の飛行を行う際に必須となる国家資格です。
二等無人航空機操縦士は飛行許可申請の一部を省略・免除することができる国家資格ですが、空港近辺や地上150m以上での飛行、イベント上空飛行、物件投下などの許可申請に関してはこれまで通り許可申請が必要となります。
なお、二等無人航空機操縦士の国家資格を保有している場合に許可申請が不要となる飛行方法としては、ドローンをDID地区で飛行させる場合や夜間飛行・目視外飛行・距離30m未満の飛行などが該当します。
上記に該当しない、現在でも許可・承認が不要となる無人地帯での飛行に関しては国家資格を保有していなくてもドローンを飛行させることが可能であるため、山林地帯やDID地区以外での飛行が主となる方の場合は国家資格を取得しなくても飛行自体は可能です。
国土交通省の資料をもとに、国家資格が制定された後にドローンを飛行させる上で必要な手続きを飛行方法ごとにまとめてみたので、ご覧ください。
すでに民間資格を取得していて、資格付与団体が「登録講習機関」として認定された場合には国家資格試験の一部または全てが免除されるとも記載されているため、国家資格取得を検討している場合は民間資格を取得しても無駄にはならない可能性が高いです。
ドローンの利用は自社導入?外部委託?
ドローンを自社・自店で導入したいと考える経営者の方は少なくありません。
とはいえ、ドローンを自社運用するか外部委託するか悩ましいところという方もいるでしょう。
本記事の最後に、ドローンを自社運用すべきか外部委託すべきかを判断するポイントをお伝えします。
①ドローン利用の目的は何か
本記事で解説したように、ドローンはさまざまな用途・分野で活躍する機械です。
例えば、ドローンで生態調査をしたいや定期的に測量をしたい場合には自分たちのタイミングで調査ができるよう、自社でドローンを運用した方がよいでしょう。
また、輸送物流や防犯対策、救助目的の場合にも、すぐにドローンを飛行させられるように自社内でドローンを確保、ドローン操縦者を育成するのが無難です。
しかし、人的コストを抑えつつ安全を確保して不定期に行う点検作業や、ドローンでの空撮動画、撮影を行う場合は基本的にドローンを飛ばすタイミングが単発かつ不定期です。
ドローンの購入費用やドローン操縦者の資格取得などの育成にかかるコストを考えると、点検作業や空撮を目的とする場合には外部委託の方がよいでしょう。
もちろん、定期的にドローン空撮を行う場合などは自社導入・運用をする方がコストパフォーマンスが抑えられます。
②空撮素材の編集は行うのか
ドローン空撮を目的とする場合には、空撮した動画や写真の編集を行うかどうかも考えて、自社導入するか外部委託するかを検討しましょう。
筆者せりぽよのようにドローン空撮を受注するフリーランスは、空撮だけではなく空撮した動画や写真の編集も合わせて行う場合が多いです。
より高品質な動画や写真を求めるのであれば、動画編集・写真編集も合わせて外部委託をした方が総合的な満足度は高くなります。
まとめ
- ドローンの定義は「人が搭乗しない遠隔操作・自動操縦で飛行できる200g以上の航空機」
- ドローンは点検から測量、空撮、農薬散布、防犯、救助などさまざまな用途で使われている
- 多くの方がイメージしている空撮用ドローンとトイドローンは違う機体
- ドローンは機種によって搭載されている機能が異なる
- ドローンを飛行させるなら「航空法」「小型無人機等避行禁止法」は遵守する必要がある
- 2022年現在は無資格でもドローンを飛ばせるものの、今後はドローン飛行に国家資格が必要になる可能性が高い
- ドローンを利用する目的によっては外部委託も一考の余地あり
そもそもドローンとは何?というところから、ドローンの特徴や種類、利用目的、ドローンに関する法律規制、ドローン飛行に関する資格、ドローンの導入ポイントまでを解説しました。
ドローンが無人航空機だということは知っていても、搭載されている機能の詳細や、FPVやUAVなどの略語が何を示しているのか知らなかったという方もいるのではないでしょうか?
本記事でお伝えしたドローンの基礎知識を把握した上で、ドローンを自分で飛行させたり、外部委託をして空撮動画を手に入れてみたりして、ドローンを自分の生活に導入してみてはいかがでしょう。